ストレス・疲労

慢性疲労症候群とは 〜基礎知識と治療について〜

疲れの程度にはいろいろありますが、一般的な回復方法を試しても一向に取れない疲れを抱えている場合は、慢性疲労症候群が疑われます。
とはいえ、「疲れ」は客観的に測りにくい感覚です。そのため自分の状態を把握できず、毎日の疲労感に悩んでいる方が多いのです。

そこで今回は、慢性疲労症候群の基礎知識と、疑いがある場合はどうしたらよいのかについてを解説します。

慢性疲労症候群とは

慢性疲労症候群は、身体を動かせないほどの疲労が6か月以上の長期間にわたって続き、日常生活に支障をきたすほどになる病気です。
1988年に、アメリカ疾病予防管理センターにより新しい疾患概念として提唱されたもので、「Chronic Fatigue Syndrome」という英語名から「CFS」ともよばれています。

慢性的な疲れの原因追求(ホルモンの異常、内臓や脳、神経系の検査など)を行なっても異常が見つからないとき、慢性疲労症候群が疑われます。

慢性疲労症候群の原因

慢性疲労症候群は、いまだ原因不明の症状です。ウイルス感染が関係しているのでは?とも言われていますが、確定的なことは分かっていません。

しかし、研究の結果から、慢性疲労症候群の仕組みが少しずつ明らかになってきています。

私たちの身体は、「自律神経系・ホルモン系・免疫系」の3つが、絶妙なバランスをキープして動いています。

しかし、ストレスが引き金になり自律神経系やホルモン系の働きにブレーキがかかることがあります。すると免疫の働きが低下し、体内に潜伏していたウイルスが再び活性化してしまうのです。

身体はそれを察知し、動き始めたウイルスを抑え込むため、どんどん免疫物質をつくるようになります。そしてこの過剰につくられた免疫物質が脳の働きに影響を及ぼし、いつも以上の疲労感や、不快な症状を起こすという説が有力とされています。

また、慢性疲労症候群をもつ方の中には、ある特定の遺伝子に関する異常が認められていることも報告されています。

慢性疲労症候群を発症するキッカケ

慢性疲労症候群の方は、普通に生活をしており、特に大きな病気には縁が無なかった人がほとんどです。

主な症状は「疲れ」であるため、「休んだら治るだろう」「気のせいかも知れない」と、付随する不調を見て見ぬふりをしていたケースも多く見受けられますが、日常生活に支障があるほど重度な疲労が続き、仕事などにも差し支えるようになって、病院を受診するのです。

そのような方は、しっかり休んだはずである起床の瞬間から疲れを感じ、それが1日中続きます。また疲労は、身体を動かしたり精神的にストレスを感じているときに強く感じますが、実際に筋力が低下したり、関節や神経の異常などが具体的に発見されることはほとんどありません。

慢性疲労症候群は、もともと健康な人が風邪や気管支炎などを患ったことをきっかけに、症状がいつまでも長引くことで発症するケースが多くあります。

風邪などウイルスに関係する症状が出ているときは、さらに強い疲労を感じます。そして発熱や鼻水、リンパ節の痛みなどに悩むことになるのです。

自分が慢性疲労症候群かどうかを見極めるには?

慢性疲労症候群は、ただ単に疲れが続くだけではなく、不快な症状をともないます。

しかしそれらと「疲労」は、結びついているようで、あまり関連付けて考えられません。そのため症状を長いこと我慢してしまう方が多くいるのです。

我慢しがたい疲れに、以下のような症状が加わっていたら、要注意です。

・記憶力、集中力の低下
・筋肉痛
・関節痛
・のどの痛みや微熱などの風邪様症状
・首やわきの下のリンパ節の腫大や圧痛
・睡眠障害
・頭痛
・低血圧
・胃腸が過敏
・体の体温調節がうまくなく、暑いのも寒いのも苦手
・音や光に対して過敏

また慢性疲労症候群の患者さんには、抑うつがよくみられます。精神的に落ち込んだり、ネガティブになっている場合は、それが単に「疲れているせい」ではなくれっきとした病気である可能性があるのです。

ただし、先ほども書いた通り、慢性疲労症候群の診断を確定できる検査はありません。そのためまずはよく似た症状を引き起こす病気について調べ、当てはまらなかった場合にのみ診断が下されます。

慢性疲労症候群の知識の少ない医師や医療機関では、的確に診断されることが難しいため、本当は慢性疲労症候群なのに「単なる疲れ、ストレス」と思い込んでいる方も多いのが現状です。

慢性疲労症候群の治療

軽度の場合は、時間が経つにつれて症状は軽減していきます。とはいえ症状が完全になくなるまでは年単位を必要とすることが多く、また、すべての症状が消えるともいいきれません。

そのため、治療にはじっくり取り組む覚悟も必要です。

「休むことだけ」では解決にはならない

慢性疲労症候群においては、ただ休養をとることは逆効果にもなり得ます。それよりは、ジョギングや水泳などの有酸素運動を適切に行うことで身体機能を回復させ、結果的に疲労感を取り除くというリハビリテーション方法が有効です。

これは段階的運動プログラムとよばれており、医師の監修のもとで行うことが必要です。

薬には依存しすぎず、うまく付き合う

慢性疲労症候群に関係する症状はとても多いため、まずは日常生活に支障を及ぼしている具体的な症状に対して、対処的な治療が行われます。たとえば、痛みには痛み止め、不眠には睡眠薬の処方などです。

しかしこれはあくまで、不快感をやわらげるための一時的な対策です。すべての方に有効な治療法はありません。そのため、「薬を飲んでいるから大丈夫」と思ってしまうことは危険です。

精神的な症状が大きい場合は、抗うつ剤などが処方されることもありますが、これもあくまで対処療法です。ずっと抗うつ剤を飲み続けることには危険もともないます。メンタル症状が強い場合は、認知行動療法のプログラムが使われるケース」もあります。

また、身体の免疫力を高め、自律神経のバランスを整えるため、漢方薬を使った治療も広く行われています。

広い視野で治療をすることが必要

慢性疲労症候群には、身体の「炎症」が関係しているのではないか、ということが分かってきました。こここでいう「炎症」とは、炎症性サイトカインといわれる物質や、体内の活性酸素が増えている状態のことです。

そのため、「抗酸化治療」や「抗炎症治療」に治療の期待がかかる可能性も出てきました。また、体内の炎症性物質による細胞の破壊を防ぐため、抗酸化作用をもつビタミンCやコエンザイムQ10などの栄養成分が有効であるという報告も見られます。

このように、単に「疲労を取る」だけではなく、分子栄養学の観点などからも広くとらえ、全体的な治療を行うことが必要です。

もし自分が慢性疲労症候群だと分かったら、部分的な体調不良にだけ目を向けずに、身体全体のバランスと整えることに取り組んでみることをおすすめします。

まとめ

慢性疲労症候群は人にも理解されにくい、とても大変な病気です。そのため毎日ストレスを感じ、さらに疲労感が増している方もいるでしょう。
だからこそ、病気になるプロセスに寄り添い、自分の身体のベースを整えて自己治癒力を高めることが必要です。

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