医師監修

【医師に聞く】感染症とワクチンの関係 

何となく「怖い」「特別な病気」というイメージを持たれがちな感染症。
しかし、毎年騒がれるインフルエンザや2018年に流行している風疹などの、よく耳にする病気も、れっきとした感染症です。

今回は、感染症のメカニズムとワクチン接種の必要性、そして「かかる・かからない」の境目がどこにあるのかを、医師に聞いてみました。

感染症って、いったい何?

感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入し、発熱や下痢、咳、発疹などの症状を引き起こすもの。

人から人へうつるインフルエンザ等の感染症のほかに、日本脳炎や破傷風など、人からではなく傷口からの感染や、昆虫・動物から感染するものも含まれています。

感染症にはいろいろありますが、そのウイルスによって感染力が全然違う、という特徴を持っています。

インフルエンザと風邪が分かりやすいでしょう。

インフルエンザウイルスは、風邪よりも感染力が強いため、流行すると一気に広まります。ま
た症状も強く、ケースによっては命の危険も出てくるため、毎年騒がれているのです。

ワクチンはなぜ打つの?

インフルエンザや風疹、はしかなどの感染症を予防するために、広く使われているのが「ワクチンの予防接種」ですね。これは、少量のウイルスや死んだウイルスの死骸を体内にほんの少し入れることで、体内に抗体をつくり感染を予防する方法です。

感染症は、身体が今まで出会ったことのないウイルスに出会うことによって引きこされます。そして一度経験すると、体内に抗体ができ、種類によっては再度かからなくなります。

そのメカニズムを応用したのがワクチンの予防接種です。体とウイルスをあらかじめ出会わせ、異物に対しての免疫抵抗力をつけておきましょうということですね。

つまり、ワクチンは自分の中にある免疫抵抗力を刺激する、トリガーでもあるわけです。

昔は自然感染で抗体を得ていた

ワクチン接種は、人間の歴史から見たら「つい最近」はじまったものです。
今の人は子どものときに接種が義務付けられており、その差はありますが、ある程度の抗体は持っているでしょう。

とはいえ人類の歴史で見ると、当然「打たなかった時代」の方が長いんですよね。

では昔はどうしていたかというと、風疹やはしかなどは定期的に流行するのが当たり前で、多くの人が「自然感染」により抗体を得てきました。

しかし、自然感染に任せていれば、元気な人・免疫力がある人は回復して抗体を手に入れることができますが、弱い人はどんどん亡くなっていきます。

だからこそ、近代では「感染して亡くなる子どもを減らそう」ということから、ワクチン接種がなされるようになったのです。

ワクチンの危険性  打つ?打たない?

「感染症のワクチンは危険だ、打たない方がいい」という意見もあります。
もちろん、100%安全なワクチンはありません。一定の割合で、有害事象が起こることはあります。

とはいえ、人類全体で打たないリスクと打ったリスクを比べると、皆が打った方が感染症の発生や流行を抑えることができます。

以前、ワクチンの有害事象が取り沙汰され、風疹ワクチンの接種が控えられた時期などもありました。しかし、抗体を持っていない世代が社会に出ることで、また流行を引き起こす…という繰り返しが起きています。

特に風疹については、子どもよりも大人になってかかる方が重症になる率は高いため、結局大人になってワクチン接種をすることになります。

それならば、一番感染のリスクが低いうちに、ワクチンを打っておくことが大切なのではないでしょうか。

打たなくてもかからない人について

感染症は、予防接種をしてもかかってしまう人と、どれだけ流行してもかからない人がいます。インフルエンザでは、A型にかかったあとにB型に続けてかかるような人も見受けられます。

これは風邪のメカニズムと一緒で、飛沫感染(セキやくしゃみなど)や接触感染をする感染症は、外出先などでは完全に避けることはできません。

しかし「かからない人」は免疫力が高く、どこかでウイルスに接触し、体内に入ってしまっても、それを自力でやっつけてしまう力を持っているのです。

たとえばわたしをはじめ、病院に勤務する人たちは、リスク回避のためインフルエンザのワクチンを打ちます。これだけでは、100%感染リスクを回避できたとはいえません。

しかし、インフルエンザの患者さんに多く接しても、かからないことも多い。

つまり、風疹・インフルエンザをはじめとする感染症にかかるかどうかは、その流行度合いではなく、その人が持っている免疫力や自然治癒力が関係しているのです。

免疫力と体力は違う

「免疫力」は医学用語です。
漠然とした力のように思われているかも知れませんが、れっきとした、根拠のある、人の持つ大切な力です。

混同しがちですが、免疫力は体力とは違います。
たとえばフルマラソンを走れたりバーベルを持てたりと、筋肉があっても体力がある人でも、毎年インフルエンザにかかることはあります。それは、体力があっても免疫力が弱いからです。

免疫力は、ジムでトレーニングしても高まるようなものではありません。
もっと総合的なものです。

食事、睡眠、またメンタルヘルスなどの諸条件がよく整っている人は、免疫力が高い傾向にあります。
そこに、腸内環境、個人の体質、考え方のクセなども加味され、トータルで全身を司っているのが、免疫力なのです。

感染症を避けるにはワクチン接種が必要

本当は、免疫力を何らかのかたちで数値化し、

「あなたの免疫力は低下しています。風疹やインフルエンザにかかるリスクが高いので、ワクチンを打ちましょう」
「あなたは大丈夫ですよ、ワクチンを打たなくてもリスクは低いですよ」
と、振り分けられたらいいのでしょう。

しかしそれは不可能です。また、すべての人の免疫力をはかることには、コストもかかるし、完全ではありません。だからいちいち検査で振り分けるのではなく、一律に「ワクチンを打ちましょう、皆で予防しましょう」と決める方がいいですね、ということになっているのです。

感染症にかかると、自分がつらいだけではなく、周囲にも感染を拡大させてしまいます。
職場、通勤中に見知らぬ人にうつしてしまう可能性はもちろん、家族や幼児への影響も計り知れません。

「自分はかからない」と思ってしまわず、感染リスクを最大限に下げるために、感染症のワクチン接種について積極的に考えてみましょう。

まとめ

残念ながら、感染症に関しては、人間側が防御するしかありません。感染を防ぐには、まずはワクチンを適切な時期に打って、「かかるリスク」を一気に下げること、そして並行して自分自身の免疫力を高めていくことが必要です。
身体の抵抗力が落ちたとき、外からのウイルスにかかりやすくなります。日常に潜む感染症のウイルスに負けない免疫力を得られるように、生活習慣にも気を配ってください。

監修医師/小西康弘(医療法人全人会理事長)

2013年に小西統合医療内科を開院。2018年9月より医療法人全人会を設立。分子栄養学や機能性医学の最先端の知識に基づき、私たちの体が本来持っている「自己治癒力」を高める医療を提供。
豊富な臨床経験に基づいた有益な情報を発信中。

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