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【医師に聞く】 ガン・ヘルペス・C型肝炎、エイズだって怖くない! 病気を防ぐ、免疫の働きの話


免疫とは、身体に入ってくる異物をシャットアウトし、病気を防ぐために大きな役割を果たしてくれる機能ですが、どのようなものかよく分かっていない方も多いでしょう。
そこで今回は、ガン・エイズ・C型肝炎という、一般的に「恐ろしい・かかりたくない」とイメージされている病気を例にとって、医師から免疫の仕組みを教えてもらいました。

免疫力とはどのようなものか

免疫力とは、私たちの身体が、感染症やウイルスに対して抵抗力を獲得することをいいます。
つまり免疫力が高いと、外部から体内に侵入してくるウイルスなどの異物に対して強いブロックが働き、病気になるのを防いでくれるのです。

免疫力は、身体の免疫細胞がうまく機能しているかどうかによって、強くなったり弱くなったりします。

つまり、お年寄りがさまざまな病気にかかりやすいのは、単純に体力が落ちていることに加え、免疫細胞の働きが弱まってしまっているからだといえるのです。

風邪やインフルエンザなどの身近な病気も、かかる人とかからない人がいるのは、「免疫力が高いか」どうかによって決まります。

ガン免疫の働きが、ガンにかかるのを防いでいる

免疫は、風邪などの身近な感染症だけではなく、ガンにも関係しています。

ガン細胞の増殖を防ぐ、ガン免疫

私たちの身体は60兆個もの細胞でできており、必要に応じて分裂して増殖したり、新しい細胞をつくり出したりしています。また、老化したり機能が落ちた細胞は死滅していき、新しい細胞にどんどん入れ替わっていく仕組みになっています。

ところが、新しい細胞が増殖するときにエラーが起きてしまうことがあります。
そのエラーの起きた細胞が、ガン細胞です。

ガン細胞は健康な人の身体でも1日に3000〜6000個もできているといわれています。
私たちの身体は、実はガン細胞だらけなのです。

その体内で増えるガン細胞を監視し、ある程度以上増えないように見張っているのが、ガン免疫です。
ガン免疫はガン細胞を見つけると、その都度退治していきます。しかしガン細胞も、もともとは正常な細胞から発生したもの。そのため、ガン免疫にとっても異物と判断しにくいこともあり、ついつい見逃してしまうことがあるのです。

そうして、ガン免疫の退治網をかいくぐって残ったエラー細胞が集まり、塊となったのが「ガン」です。

エラー細胞たちが集まるための「第一関門」を超えられるかどうかは、免疫細胞の一種であるガン免疫の力が強いかどうかにかかっています。

日本人の2人に1人は、ガンにかかるといわれていますが、実は身体の中ではそのようなガン免疫とガン細胞の攻防戦が繰り広げられています。

基礎体力や年齢にかかわらず、免疫力の強さが、ガンにかかるかどうかを分ける大きな要因となっているのです。

病気を防ぐカギの免疫、数値化することはできていない

つまり、インフルエンザウイルスもガン細胞も、免疫の関門を突破して病気を引き起こすという仕組みはまったく一緒です。かかるかどうかは、免疫力によって決まっています。

となると、ガン細胞を見逃さずにすべて退治できるように、免疫力を上げないといけません。
しかし残念ながら、今の段階では、各自の免疫力を数値化することはできていません。免疫細胞自体を調べることはできますが、コストがかかりますし、病気の予防に直結させることは難しいでしょう。

理想的には、何らかの検査で免疫力をはかって、その人の病気リスクがどれくらいなのかを判断できればいいのですが…。

持続感染しているヘルペスが、出たり引っ込んだりする理由

ヘルペスは、風邪のウイルスのように外から入ってくるのではありません。もともと人間の身体にじっと潜んでいるのです。
しかし免疫力が落ちると、ヘルペスウイルスを押さえ込むことができなくなり、ウイルスが増えてしまうのです。すると帯状疱疹になってしまったり、口の周りにヘルペスができてしまいます。

つまり、風邪などの「外から入ってくるウイルス」ではなく、元から持続感染しているウイルスであっても、免疫力が高ければ発症せずに終わるということですね。

大きな病気で免疫力が激しく低下してしまうこともあるでしょう。そのときは、自分でウイルスを殺す力が低下しているので、ヘルペスウイルスを殺す薬を使うこともあります。病気になってから、すぐに免疫力を上げることなどできないからです。

とはいえ、何でもかんでも症状が出たときに薬を飲むことは、身体の力をかえって落とすことになってしまいます。必要なときに、必要な薬を正しく投与することが、身体全体を強く保つ秘訣です。

エイズの感染力

普通の風邪よりも、インフルエンザが騒がれるのは、感染力が強いからですよね。
インフルエンザはその強い感染力から広がりやすく、症状も強く出てしまいます。

ただし、決して特別なウイルスではなく、くしゃみやセキで人に移してしまうというメカニズムは、風邪も、風疹も、インフルエンザも一緒です。

同じように、ウイルスが原因となる感染症に、AIDS(エイズ)があります。

エイズの原因菌(HIVウイルス)の感染力は弱い

エイズウイルス(HIVウイルス)は、そのイメージから必要以上に恐れられていますが、実はとっても感染力の弱いウイルスです。

知識がない方は、エイズウイルスに接したら100%感染してしまう・・・と思っているかも知れません。
しかし、その感染力は風疹やインフルエンザよりはるかに弱く、不必要に恐れることはありません。

たとえばエイズウイルスを持っている人と性的交渉があっても、それだけで発症すると決まったわけではないのです。

それは、私たちの身体の免疫細胞が、勝手にエイズウイルスをやっつけてくれているからです。

そこそこ健康な人の免疫細胞にとって、エイズウイルスは弱い敵。
きちんと免疫力が働いていれば、退治することができるのです。

とはいえ、今はエイズに対する治療技術も進んでおり、もしHIVに感染していても、発症させずにすることは、かなり可能となっています。

ウイルスを恐れるのではなく、免疫力をあげよう

恐れられているC型肝炎も、エイズウイルスと同じ。
とても感染力が弱く、たいがいは一生キャリアのままで終わります。

万が一血液中にC型肝炎ウイルスが入っても、本当に発症する人はごく一部です。
その中から肝硬変・肝ガンにかかる人はほんの数%です。ウイルス感染即、肝硬変・肝ガンではないのです。

私たちは、目には見えない多くのウイルスと共存しています。
だから、不必要におそれるのではなく

「そのウイルスの感染力は高いか、低いか」
「人に移さないためにはどうしたらよいか」
という正しい知識をもって、リスクに対応していく必要があります。

それと並行して、身体の免疫力を高めておくことももちろん大切です。

手ごわい敵(感染力の強いウイルス)が侵入してきても、自分の免疫力で退治できるということが、病気知らずの健康体をキープするための秘訣です。

まとめ

免疫力は、ストレスや精神的不安でも低下します。
またスポーツジムで鍛えて手に入る筋力や体力とは別物であることも知っておきましょう。
免疫力は、体外からのウイルスや細菌などの異物の侵入を防ぐための「防波堤」のような役割を果たします。心身ともに健康な身体をつくるために、自身の免疫力について考えてみてはいかがでしょうか。

監修医師/小西康弘(医療法人全人会理事長)

2013年に小西統合医療内科を開院。2018年9月より医療法人全人会を設立。分子栄養学や機能性医学の最先端の知識に基づき、私たちの体が本来持っている「自己治癒力」を高める医療を提供。
豊富な臨床経験に基づいた有益な情報を発信中。

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