基礎知識

【医師に聞く】 遅れている日本の予防意識と、代替医療とのかかわり


生活習慣病にかかる人が増え、医療費もかさんでいるという日本の現状。
そこには、取り返しがつかなくなってか薬や手術で対応するしかないという負のスパイラルがあります。
また日本における「予防医学」への意識の低さも、問題となっています。
そこで西洋医学では対応しきれない部分を担う「代替医療」ですが、いったいどのようなものなのか、またどのようにかかわっていけばよいのかを、医師に聞いてみました。

病気の原因は食生活?日本の意識は低いまま

病気にかからないように自分で対策をする「予防医学」という観点からは、西洋医学の考え方に加えて、東洋医学の考え方も取り入れることが大切という話をしました。

とはいえ、忙しく働く現代人が予防的な対策を取ることはなかなか難しいですね。
特に今現在、自分は健康だと思っている方が、わざわざ漢方薬を飲むかというと、そうはならないでしょう。

しかし、いつか身に降りかかる病気を予防しておきたい、と思うのは当たり前。
では、そのマイナスの循環を断ち切るにはどこにメスを入れたらいいのでしょうか。

予防医学における 食事の重要性

生活の中でできる一番の予防は、食事です。
これは、おろそかにされがちですが、とても大切です。

1975年、アメリカで「マクガバンレポート」という報告書が出されました。

これは現代栄養学の始まりともいえるレポートで、当時アメリカの社会問題となっていた生活習慣病は、食生活がもたらした「食源病」であり、薬で治すことには限界があると結論付け、食生活を見直して病気にかかるのを防ごうというムーブメントの基礎となるものでした。

その結果、社会的なキャンペーンと啓蒙活動は実を結び、現在のアメリカの食生活志向はとてもヘルシーになっています。そして実際に、アメリカはで30年前ほどからガンが激減しているのです。

いまだに意識の低い日本

しかし日本では、ガン患者はいまだ増えつづけています。
アメリカよりもヘルシーな和食を食べているはずなのに、どうしてでしょうか。

それは、日本の意識がまだまだ低いからです。
なぜなら、病気になっても病院にすぐ行ける。そして、保険診療で安く治療ができる。
国民が医療制度に頼り切っていて、自分で予防するという意識が低いままなのです。

アメリカでは、オバマ大統領が「オバマケア」を提唱するまで、自分で自分を守るしかありませんでした。
それは、ちょっと病気になっただけで、破産してしまうほどの医療費がかかったからです。

だから、アメリカではサプリメントなどの代替医療で病気を予防しようという意識が、とても高いのです。

代替医療とは

代替医療とは、「通常医療の代わりに用いられる医療」とされるものです。

これは、現代の西洋医学の領域においては、科学的検証ができておらず、また臨床未対応の医学であるという位置づけなので、一般的な病院ではお目にかかることは少ないでしょう。

では、「病院に導入されていないなら、効果がないのか」というと、そうとはいい切れません。

代替医療の範囲はとても広く、伝統医学や民間療法はもちろんのこと、保険適用外の新しい治療法までも含みます。

よく耳にするものでは、鍼灸や指圧などを含む「中医学」、アーユルヴェーダで知られる「インド医学」、またハーブ療法やアロマセラピー、温泉療法や健康食品を利用した治療などがあげられますね。

究極は、「風邪をひいたら、おでこに梅干しを貼る」といったような、おばあちゃんの知恵袋的な民間療法も含まれるため、「効果がない」「ただの迷信、気のせいだ」と思われてしまうこともありますが、最近では、その機能や有効性を科学的に証明し、医療の現場に応用しようという動きも出始めています。

サプリメントも代替医療の一種

アメリカで広く受け入れられている代替医療に、サプリメントがあります。
すでに医療の現場にも導入されており、サプリメントで身体を整えることは一般的になっているのです。

日本でも、健康のためにサプリメントを飲む人は増えていますが、まだまだアメリカほど広まってはいません。

残念ながら日本には、代替医療に取り組む政府機関はまだありません。
そのため、代替医療が一般的な医療機関で受けられる日は、しばらくはやって来ないかも知れません。

現状では、代替医療を利用するかどうかというのは、完全に個人ベースでの判断になっています。

医療の現場にも問題はある

西洋医学の先生たちも、病気にならないようにリスク因子を管理するという観点から、「生活習慣を正して、健康的に暮らしてください」とはいいます。

しかし、日本の意識の低さが災いし、その忠告は聞き流されてしまうことがほとんどです。そして、いざ病気になってから、「治してください」と病院へ駆け込む…というのが当たり前になっているのですね。

医療の現場にも、その負のスパイラルをスルーせざるを得ないという現実があります。
なぜなら予防医学を本当に一生懸命広めたくても、あまりお金にならないからです。

またいくら食事や生活管理をしてあげても、ひとりの医者でできることは限られています。保険点数も稼げませんから、結局、病気になってしまった人の胃カメラやCTスキャンを取ることでしか、病院の経営が維持できないのです。

だから、医療の現場も予防医学に一生懸命にはなれません。
このような社会構造がある限り、元気な人が、当たり前に予防医学に取り組む世界はなかなか実現しないのです。

まずは食生活から意識を変えよう

日本にも当然意識の高い方たちはいます。
たとえば、最近よく聞くようになった「グルテンフリー」ですが、これも食事療法としての広い意味での代替医療の一種ですね。

医師に禁止されたわけではないものの、「身体にとって良くないものは控えたい」という意識から、そのような食事療法に取り組まれている方が増えています。

グルテンフリーをはじめとする食事療法で特徴的なのは、「身体にいいものを積極的に食べる」ことではなく、「身体に悪影響を及ぼすとされるものを排除する」という方向からの、取り組みであるということ。

これは、食べるものが豊富にあり、また食品添加物やハイカロリーなものに囲まれた現代の食生活の中では、ある程度意識した方がよいことです。ただし、行き過ぎてはいけません。あくまでバランスを保って、取り組むことが大切でしょう。

はじめに、生活の中でできる一番の予防は食事であるとお伝えしました。
そこに注目して気を付けるだけでも、身体のベースは整っていきます。

意識の高い人だけが変わっても、日本の健康状況は変わりません。
すべての人が、自分自身を健康に保つため、当たり前に予防医学に取り組むことが必要なのです。

まとめ

代替医療もさまざまです。残念ながら、代替医療の中にはまったく根拠がなく、健康不安をあおるだけのものありますから、安易に飛びつかないようにしなくてはなりません。しかし、優れた代替医療を見定めて、ライフスタイルの中に組み込んでいくことは、
日本人全体の健康意識を上げることにもつながるでしょう。

監修医師/小西康弘(医療法人全人会理事長)

2013年に小西統合医療内科を開院。2018年9月より医療法人全人会を設立。分子栄養学や機能性医学の最先端の知識に基づき、私たちの体が本来持っている「自己治癒力」を高める医療を提供。
豊富な臨床経験に基づいた有益な情報を発信中。

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