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【医師に聞く】自己免疫疾患のメカニズムと、治療の最前線

治療器具

身体に入ってきた細菌やウイルスなどの異物をやっつけてくれる「免疫」。
普段は身体を守るために働いてくれていますが、あるときから自分の身体を異物と認識して、自分自身を攻撃することがあります。
免疫の暴走から引き起こされる病気を「自己免疫疾患」といいますが、では、どうしてそのようなことが起きるのでしょうか?
今回は、自己免疫疾患のメカニズムと治療についてを、医師に聞いてみました。

自己免疫疾患について

本来は自分を守るための免疫が自分自身を攻撃して、病気を引き起こすのが、自己免疫疾患です。
関節リウマチ、膠原病、また甲状腺に関するバセドウ病や橋本病などがよく知られています。

自己免疫疾患は、全身に影響が出る「全身性自己免疫疾患」と、特定の臓器だけが影響を受ける「臓器特異的自己免疫疾患」のふたつに分けられます。

関節リウマチは「全身性自己免疫疾患」にあたります。

甲状腺に関するものは、「臓器特異的自己免疫疾患」に含まれます。
また、潰瘍性大腸炎やクローン病なども、こちらの種類に分類されます。

病名だけを聞くと、難病で、怖い病気に思えるでしょう。しかし近ごろでは、自己免疫疾患のメカニズムもだいぶ分かってきました。

免疫の暴走は、免疫バランスの崩れが原因

免疫機能が低下すると、風邪を引きやすくなるのはご存知かと思います。それは、外から入ってきた風邪のウイルスをやっつけてくれるはずの免疫細胞が弱っていることで、ウイルスを退治しきれなくなるからです。

しかし、自己免疫疾患にウイルスは関係ありません。
外からの異物が原因なのではなく、体内の仲間を攻撃し始めるということですから、風邪のような病気とはメカニズムが違うのです。

それでは、なぜ免疫が自分自身を攻撃するのかですが、カンタンにいうと、「免疫のバランスが崩れているから」です。

関節リウマチを例にお話しましょう。
この病気は、関節が炎症を起こすことで骨や軟骨が壊されてしまい、激しい痛みや腫れを感じる病気です。
放置すると関節が変形してしまい、骨だけではなく疲労や発熱などの全身症状につながることもある、とても苦しい病気です。

炎症と聞くと、外からの菌が入ったりして起きるイメージがあるかと思います。しかし関節リウマチの炎症は、バランスを崩した免疫細胞が暴走し、自分の関節の細胞を攻撃することによって、引き起こされているのです。

痛い場所に原因があるわけではない!?

一般的な感覚では、痛みや腫れがあったら、その原因となる物質を取り除いたり、なだめたり…という治療法が思い浮かぶでしょう。

しかし自己免疫疾患では、攻撃される側に「悪い物質」は存在しません。
なにしろ、ひざの関節にある軟骨は、悪さはしていないからです。

悪さをしているのは、突然ひざの軟骨を攻撃しだした免疫細胞です。つまり自己免疫疾患とは、攻撃される側は生まれたときからそこにあって、なにも悪くないのに、仲間のひとりから急にいじめられてしまっている…という状態だと思ってください。

自己免疫疾患の治療

看護婦

自己免疫疾患の治療は、いじめられた側を隔離・排除するのではなく、急にいじめっ子になってしまった免疫細胞を元の状態に戻すために行われます。

基本は投薬治療

自己免疫疾患の治療にはステロイドが使われることが多く、それが怖いというイメージにつながっています。
ステロイドには、暴れている免疫を無理やり抑えこむ作用があり、とてもよく効きますが、その抑え方が無分別なため、いろいろな副作用も出てしまうからです。

ステロイドは強い薬なので、悪さをしていない免疫細胞も抑えこんでしまいます。そのため全体の免疫力が低下し、風邪を引きやすくなったり、合併症を起こしやすくなるのです。

しかし、自己免疫疾患の治療すべてにステロイドが使われるわけではありません。

たとえば甲状腺の治療には、甲状腺の活動性を抑える薬が使用されます。ただし、その薬は必ずしも、免疫バランスを整える薬ではありません。研究はだいぶ進んでいますから、甲状腺の細胞を攻撃する抗体は見つかっていますが、それを取り除く治療はまだありません。そのため、投薬治療と並行して免疫バランスを整えていく必要もあります。

バセドー病の治療では、細胞に放射線を当てて、暴れている細胞をつぶしていくという方法が取られることもあります。

また、橋本病(慢性甲状腺炎)という病気があります。これは甲状腺が免疫細胞に攻撃され過ぎて、甲状腺をつくれなくなってしまい、甲状腺機能が慢性的に低下してしまう病気です。

そこまで慢性的に攻撃を受け続けると、攻撃している免疫の方を整えようとしても間に合わず、細胞は再生しません。そのため、甲状腺ホルモンを薬で補う治療が行われます。

解明は進んでいる

自己免疫疾患のメカニズムはかなり分かってきています。どこに、どのような炎症を起こす因子があるのか…ということなども解明されつつあり、免疫異常を調節する薬もつくられ始めています。

それは、免疫の悪さをしている原因の免疫細胞をしっかりターゲティングして、ピンポイントで抑え込むような治療が可能になってきているということです。

これは標的治療といわれるもので、炎症や痛みに一番関係している「いじめっ子の細胞」をめがけて退治したり、元の大人しい細胞に戻すために行われます。関節リウマチやクローン病の治療は、劇的に進化しているといってよいでしょう。

自己免疫疾患にかからないようにするには?

自己免疫疾患は、人間である以上仕方ないエラーなのか?
それとも、生活習慣に起因する現代病なのか?

それは、はっきりとは分かっていません。

しかし、自己免疫疾患に限らず、身体の免疫のバランスを整えること自体は、病気を防ぐ上でとても大切です。
免疫力は、身体全体の健康を司る重要な機能です。弱いままにしておくと、生活習慣病やガンになりやすくなり、病気リスクを拡大させるからです。

免疫力を司っているのは「腸」

意外かも知れませんが、免疫を司っているのは、腸です。
腸は、食べ物をはじめとして、体外から入ってくる異物に一番接触する機会の多い臓器です。だからこそ、さまざまな異物からの攻撃を防ぐため、人体の70%もの免疫細胞が、腸に集められているのです。

しかし、腸内であらゆる外敵に立ち向かってくれる免疫細胞に何らかのエラーが起きて、本来攻撃する必要のないものまで攻撃してしまっているのが、自己免疫疾患。
それを防ぐには腸内バランスを整え、免疫細胞を暴走させないことが一番なのです。

余談ですが、食物アレルギーも同じメカニズムで発生します。
アレルギーも、元をたどると腸内の免疫細胞に原因があり、本来は攻撃しなくてもよい栄養素やタンパク質に異常反応してしまうことで、湿疹や体調不良などのアレルギー反応が引き起こされるのです。

今、自己免疫疾患で苦しんでいる方は、投薬治療を進めつつ免疫バランスを整えることに気を配ってください。
また、「今は元気」という方も、自己免疫疾患だけではなく、すべての病気を防いで健康に過ごすためにも、腸内環境を整え、免疫に暴走のキッカケを与えないようにすることが大切でしょう。

まとめ

自己免疫疾患では、痛みのある場所・症状の出ている場所に原因はありません。その場所にある特定の物質を攻撃してくる、暴走した免疫細胞に対する治療をする必要があります。
難病というイメージが強い自己免疫疾患ですが、そのメカニズムは徐々に解明され、治療もどんどん進化しています。それを知ったうえで、腸内環境のバランスを取って、免疫細胞をこれ以上暴走させないようにすることが大切です。

監修医師/小西康弘(医療法人全人会理事長)

2013年に小西統合医療内科を開院。2018年9月より医療法人全人会を設立。分子栄養学や機能性医学の最先端の知識に基づき、私たちの体が本来持っている「自己治癒力」を高める医療を提供。
豊富な臨床経験に基づいた有益な情報を発信中。

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