腸内環境

「数日前のあの食材」が原因? 遅延型フードアレルギーのメカニズムと、検査のすすめ

「遅延型フードアレルギー」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、そのメカニズムや、発覚したあとの対策については、一般的にはまだあまり知られていません。

そこで今回は、遅延型フードアレルギーについての基礎知識を解説。遅延型フードアレルギーが引き起こされるメカニズムや、その対処方法などを知り、身体の声に耳を傾けるキッカケにしてみてください。

 

遅延型フードアレルギーとは?

アレルギーという言葉を知らない人はいないですよね。そば、花粉、ネコ…世の中にはさまざまなアレルギーがあり、そのアレルゲンに接することで発現する目のかゆみやくしゃみ、湿疹などに悩まされる人が大勢います。

アレルギーの中でも、食べ物によって引き起こされるものを「フードアレルギー」と呼び、「即時型」と「遅延型」の2種類が存在します。

よく知られているのは、アレルゲンを食べた直後に反応が出る「即時型」フードアレルギーです。それに対し「遅延型」は、かかっている本人にすら認識されにくいアレルギー。その理由は、アレルゲンとなる食べ物を摂ってから半日から数日以上の時間をかけ、ゆっくりとアレルギー反応が出てくるからです。

そもそもアレルギーとは、身体にとって危険な物質が外から入ってきたときに、その物質をやっつけて排出しようとする身体の免疫反応のひとつ。「即時型」「遅延型」とは、その免疫反応の反応スピードによる区別です。つまり「遅延型」は、アレルギー反応の発現が、自分でも気が付かないほどにスロータイプのアレルギーということです。

 

遅延型フードアレルギーが引き起こす症状

遅延型フードアレルギーは、すぐにはその症状が出ないため、アレルゲンを突き止めることがとても困難です。

症状も、湿疹や呼吸困難など分かりやすいものだけではなく、「まさか、食べ物が原因だったなんて!」と驚くような、意外な体調不良を引き起こすケースも多くみられます。

たとえば、以下のような症状に悩まされている場合、その原因は遅延型フードアレルギーかも知れません。

  • 肌荒れや失神、アトピー性皮膚炎
  • 腹痛や消化不良、過敏性腸症候群
  • イライラや集中力の低下、メンタルの不調
  • 不妊
  • 冷え性、肩こり、頭痛や頭重感
  • 筋肉、関節の痛み
  • むくみや体重増加
  • 不眠

上記の症状には、まさかその原因が「数日前に食べた特定の食べ物」であるとは、一般的には考えられないものも含まれます。しかし、さまざまな不調に悩まされていながら、自分が遅延型フードアレルギーであることに気が付いていない人が多いのも事実なのです。

また、遅延型フードアレルギーは治療が難しいとされる疾病との関連も深く、たとえば、※慢性疲労症候群・潰瘍性大腸炎・起立性調節障害などの原因である可能性も指摘されています。

もしあなたが今、日常生活に支障が出るほどの不調に悩み、対症療法で症状をおさえているだけ…ならば、遅延型フードアレルギーを疑ってみてもいいかも知れません。

(※の病気については、記事下部の「マメ知識」をお読みください)

遅延型フードアレルギーはどのようにして起こるのか?

それでは、遅延型フードアレルギーはどのようにして起こるのでしょうか。
その原因には、腸内環境が大きく関わっています。

食べたものは、細かい分子に分解されていく

人間が食べたものは、まず胃でこまかく粉砕され、胃酸や消化酵素と混ぜられます。
その後、小腸に送られた食物は、さらに細かい分子に分解されていきます。

たとえばお肉や魚などのタンパク質。小腸に入ったタンパク質は、分解酵素による細かい分子(ペプチド)の状態を経て、アミノ酸に分解され、私たちの身体の栄養となるのです。

小腸が健康であることが重要

しかし、ここで問題が起きることがあります。

食べたタンパク質は、とても微細なアミノ酸にまで分解されてはじめて小腸の壁から吸収され、栄養として機能します。

ところが、腸内環境が悪くなると、小腸の壁に炎症が起き、隙間ができるケースがあります。するとその隙間から、まだアミノ酸にまで分解されていない、分子量の大きなままのタンパク質やペプチドが、血中に流れ出してしまうのです。

そして、本来ならば血中に入ってくることのない「異物」を察知した身体が、それを「異常事態」と判断し、アレルギー反応を引き起こします。これが「遅延型フードアレルギー」の原因です。

小腸が健康ならば、炎症による隙間ができることはありません。つまり、アレルギー反応自体が原因なのではなく、アレルギーを起こすような「異物」が血中に漏れ出てしまうような、「腸内の状態悪化」が、問題なのです。

 

遅延型フードアレルギー検査でわかる「自分の状態」

もしかしたら遅延型フードアレルギーになってしまったのではないか?
この原因不明の不調の原因は、遅延型フードアレルギーなのではないか?

そう不安を覚えたら、専門医で検査を受けることをおすすめします。

腸内環境の改善には長期的な視野が必要ですが、検査では「腸内環境が悪化しているか」「腸管に傷がついていないか」を間接的に調べることができるため、治療の大きな指針となります。

そのうえで、現在の症状があまりにも重い場合は、症状を和らげるための対症療法を行います。

しかし、頭痛薬を飲み続けても頭痛の根本解決にはならないように、つらさを緩和するだけでは治療とはいえません。だからこそ、並行して、遅延型フードアレルギーの原因である腸内環境の改善を行うことが必要になるのです。

腸内環境が改善されて小腸の壁の炎症がおさまってくると、アレルゲンであるものを食べても、血中に流れ出す量が減ります。気が付いたら慢性的な不調が改善された…という人も多く、目には見えませんが、腸内環境が整ってきたことを身体で実感できるのです。

安易に「アレルゲンの食べ物を食べない」という対応は、アレルギー反応を出さないという一点に関しては有効です。しかし、遅延型フードアレルギーの根本解決にはなりません。長い人生です。健康のためにも腸内環境を改善し、根本治癒に意識を向けてみてはいかがでしょうか。

 

マメ知識「こんな症状に悩まされていませんか?」

・慢性疲労症候群

まるでずっと風邪をひいているかのように、だるさや眠気、めまいなどが続き、ときには疲労感から寝たきりになってしまう症状です。診察を受けてもはっきりした原因が分からないことも多く、メンタル不調と紐づけられ、長く苦しむ人が多いのが特徴です。

・潰瘍性大腸炎

血便から始まり、下痢や軟便に悩まされる症状です。悪化すると1日に何度もトイレに駆け込むことになり、日常生活に支障をきたすようになります。薬による内科治療が行われ。重症の場合には手術が必要となることもある、つらい病気です。

・起立性調節障害

思春期に起こりやすい、自律神経機能不全のひとつです。立ちくらみや失神、倦怠感、また朝に起きることができなくなるという症状に悩まされます。血液による酸素や栄養の供給も悪くなり、思考力の低下を招くこともあります。

 

まとめ

アレルギーによる心身の不調には名前の付かないものも多く、病院で診察を受けてもなかなか治療が進みません。そのため、遅延型フードアレルギーを疑って検査をする人が増えています。病院で「原因不明」といわれる症状にも、体内には原因が必ずあります。もしその原因が腸内環境にあるのならば、適切な対策で、症状を軽くすることは不可能ではないでしょう。

 

監修医師/小西康弘(医療法人全人会理事長)

2013年に小西統合医療内科を開院。2018年9月より医療法人全人会を設立。分子栄養学や機能性医学の最先端の知識に基づき、私たちの体が本来持っている「自己治癒力」を高める医療を提供。
豊富な臨床経験に基づいた有益な情報を発信中。

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