基礎知識

【医師に聞く】カタラーゼ活性と、「副作用のない抗がん剤」高濃度ビタミンC療法

フルーツと薬

ビタミンCが、がんに効く!?
トンデモ話のように聞こえますが、実はそのような治療は、実際に存在します。

どうしてビタミンCががん治療に役立つのかを知るためには、まずは活性酸素の話からスタートしなくてはいけません。

今回は、「普通の細胞とがん細胞の違い」はどこにあるのか、また、そのカギとなるカタラーゼ活性についてを、医師に分かりやすく解説してもらいました。

病気の原因・活性酸素

活性酸素とは、物質を酸化させるパワーの強い酸素です。

本来は体内の細菌・ウイルスや有害物質を撃退してくれたり、体内の酵素の働きを促進してくれるため役に立つ物質でもあるのですが、活性酸素が増えすぎると正常な細胞をも攻撃し、酸化させてしまうのです。

細胞の酸化は、身体の老化を早めます。

そのため、アンチエイジングや健康維持の観点から、活性酸素を少しでも増やさないような食生活や健康習慣が提唱されつつあります。

しかし、活性酸素が100%悪いのか…というと、そうはいい切れません。

活性酸素にも悪玉と善玉がある

なにかと悪者扱いをされる活性酸素ですが、もともと、外から入ってくる菌を殺してくれる働きを持っています。そのため身体から完全になくなってしまっては、困るのです。

実は、活性酸素にも善玉と悪玉があります。

殺菌や消毒のために働いてくれ、身体にとって必要なのは、善玉の活性酸素です。
そして私たちが「増やさないように」努力をすべきなのは、悪玉の活性酸素です。

炎症症候群という概念があります。

これは「病気をひとことでいうと、炎症である」という考え方で、標準的な医学でも受け入れられはじめています。

悪玉の活性酸素が増えると、体内での放火が増え、いろいろなところで炎症が起きてしまいます。

そして、放火犯をひとりやっつけても後から後から増えていくためキリがなくなり、体内が大火事になってしまった状態が、いわゆる「病気」なのです。

活性酸素の発生をコントロールするものは病気を制するといっても、過言ではありません。

カタラーゼ活性とは

活性酸素は、単一の物質ではありません。実は数多くの活性酸素が存在します。
スーパーオキシドアニオンラジカル、一重項酸素、ヒドロキシルラジ、過酸化水素の4種類は狭義の活性酸素といわれています。

活性酸素の毒素を抑えてくれる物質に、カタラーゼがあります。

カタラーゼとは、唾液などにも含まれ、活性酸素のひとつである過酸化水素を水と酸素に分解する触媒の酵素。このカタラーゼがあることで、過酸化水素を中和することができるのです。

ちなみに過酸化水素を水に溶かしたものの3%水溶液は、オキシドールです。これはなじみがあるでしょう。薬局でも購入できますし、外傷の殺菌・消毒に広く使われています。

では、過酸化水素で殺菌するとき、菌と一緒にまわりの細胞も消毒されて死んでしまうのでは?という疑問が湧くかも知れませんが、そんなことにはなりません。

普通の細胞には、善玉の活性酸素に対する抵抗力があります。これを「カタラーゼ活性」といいます。

活性酸素による殺菌効果は、悪い細胞にだけ働き、カタラーゼ活性がある普通の細胞は死にません。

しかしがん細胞には、カタラーゼ活性はありません。

それはつまり、過酸化水素を大量に体内に注入すれば、がん細胞だけを死滅させることができるということです。

高濃度ビタミン療法

ショートカットの女性

実際、そのようながんの治療法があり、「高濃度ビタミンC療法」と呼ばれています。

がんの治療にビタミンC?
と不思議に思われるかも知れませんが、ビタミンCはとても面白い働きをもっています。

ビタミンCを低濃度、つまり普通のサプリメントやドリンクで飲んでいる間は、活性酸素を消去してくれます。しかし、高濃度のビタミンCを点滴で一気に体内に注入することで、活性酸素を発生させるのです。

すると、カタラーゼ活性のないがん細胞は、その活性酸素のおかげで死滅します。

この治療法は、「副作用のない抗がん剤」といわれています。いくら高濃度のビタミンCで活性酸素を増やしても、他の元気な細胞には影響を与えないからです。

血流のないがんには効果が薄い

とはいえこの治療法は、完全ではありません。

高濃度ビタミンCをがん細胞に届けるためには、そのための道が必要です。本来は血流がその役目を果たしますが、がん細胞には血流がありません。

そのためがん細胞が塊になってしまっていると、ビタミンCはそこまでたどり着くことができないのです。

しかし血液のがんは、固まっていません。そのため、高濃度ビタミンC療法は、白血病や悪性リンパ腫などには効果が出やすいといえるでしょう。

高濃度ビタミンC療法は、がんが大きくなってからではなく、予防の一環として利用する方が効果的です。

がん細胞がまだできたてでバラバラに存在している間は、ビタミンCを血液に乗せてがんに届け、攻撃をすることができるからです。

ときに予防的な意味で高濃度ビタミンC療法を行っているところがありますが、残念ながらまだ費用も高く、保険も効きません。そしてもちろん、点滴を打ったからといって完全にがんを予防できるとは、限りません。

予防医学の観点からは、まずは活性酸素ができにくい身体をつくりましょう、とお伝えしています。

病気は身体の炎症であり、その炎症の犯人が活性酸素である以上、生活習慣を正して悪玉の活性酸素をつくらないようにする必要があるのです。

まとめ

がん細胞と正常細胞の違いは、カタラーゼ活性があるかないか、ということが分かりました。
そして、そのカタラーゼ活性の仕組みを利用することで、血流があればがん細胞にビタミンC由来の合戦酸素を送りつけ、死滅させましょう、というのが高濃度ビタミンC療法です。
これは、なかなか知られていないことですが、病気を治すときのメカニズムを知っておくことは、治療を選ぶときのヒントにもなります。正しい知識を予防にも役立て、大きな病気になりにくい身体をつくるようにしていきましょう。

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