食事

ヒトは食物繊維を分解できない! なのに、日本人の身体に必要な理由

繊維のある食物

便秘解消のために、食物繊維の入った食材をモグモグ…
そんな健康意識の高いあなたに、ちょっと驚きの情報をお届けします。

人体は、そもそも食物繊維を分解できません。
何しろ、食物繊維の定義は「人間の消化酵素では消化できない食品中の難消化成分」ですから…

ではどうして、私たちの健康は食物繊維に助けられているのでしょうか。
そこには、「日本人だからこそ」の理由が隠されていました。

食物繊維を分解できる・できないは地域差

腸に入ってきた食べ物を分解・吸収するのは、無数の腸内細菌たち。
その細菌分布に、ひとつとして同じものはありません。

個体差が大きい腸内環境は、その人が何を食べて生きてきたかによって、どんどん変化していきます。

しかしベースとしては、生まれた地域・民族で、ある程度の違いが発生しています。
そこには、文化的背景や食習慣、主食は何か、家庭料理に使われる調味料は何か…という、複雑な要因がからまり合っています。

そして日本人は、食文化の継承の中から「食物繊維を分解できる菌」を腸内に住まわせることに成功し、それが日本人の身体を健康に保つために、程よく働いてくれているのです。

後天的に変化する、腸内環境

本来「ヒト」は食物繊維を分解する酵素をもっていません。

コンニャクや海苔などの日本独自の繊維質の多い食材を、日本人は昔から食べてきました。すると、腸内のフローラも徐々に変化をし、これらの食物繊維を分解できるようになっていったのです。

ではこれらの食材を、普段あまり食べない外国人が食べたときはどうなるでしょう。

その人の腸内にそれを分解する菌がいなければ、お腹を壊すかもしれません。
日本人も、外国の食材でおなかの調子を悪くすることはあるでしょう。それは日本人の腸内細菌では対応できない、はじめての食材に出会ったからです。

しかし外国人であっても、日本に長く住んで和食に慣れ親しむことで、その人の腸内には新しい菌が住み着き、新しい食材を分解吸収する力が後天的に身につくでしょう。

また、赤ちゃんは出産時に母親の腸内細菌を受け継いで生まれてきます。つまり外国人の子どもであっても、母親が日本人であった場合は、食物繊維を分解できる身体で生まれてくる可能性が高い、といえるのです。

食物繊維と身体の関係

実は、1970年代までは食物繊維を食べても、吸収されずに便となって出てしまうだけ…と考えられていました。しかし研究の結果、食物繊維はどうやら大腸ガンの予防に役立っているらしい、ということが分かり、そこから注目を集めるようになっていったのです。

便秘症で悩む人は多くいますが、これは、食生活が欧米化してから顕著になったといわれています。そのため、古来の日本の食事…野菜や繊維質の多い食材をしっかり食べることで、便秘の解消が期待できます。

さらに、こんにゃくや寒天を使った食品は低カロリーで満腹感があるため、ダイエット目的にも食物繊維が有効利用されるようになっていったのです。

プレバイオティクスにも使われる食物繊維

ランニングする女性

健康維持のため腸内環境に気を配る人が増え、食物繊維への注目度はますます高まっています。

そして、ただ単に多く含まれる食材を食べるだけではなく、「よい腸内細菌を育てるため」に戦略的に役立てる…という考え方が出始めました。

「プロバイオティクス」「プレバイオティクス」という言葉があります。

これは

  • プロバイオティクス…善玉菌の含まれているサプリメント
  • プレバイオティクス…善玉菌を育てるエサの成分が含まれているサプリメント
  • を指します。

    つまり、ただ単に腸に善玉菌を届けるだけではなく、それに効果的にエサを与えてうまく育てていこうという考え方です。

    上記の2つのサプリメントを合わせて飲むことを「シンバイオティクス」ともいいます。

    善玉菌は食物繊維で育つ

    では、プレバイオティクスに使われる「善玉菌のエサ」とは、何でしょうか。

    それこそ、食物繊維が中心となっているのです。

    広義の食物繊維に分類されるオリゴ糖なども含め、善玉菌を腸内ですくすく育てるためには、食物繊維のエサを適度に与えることが必要なのです。

    そして、食物繊維などのプレバイオティクスをしっかり摂って善玉菌が増やせると、「短鎖脂肪酸」がたくさん生産されます。

    短鎖脂肪酸は腸管免疫を調整し、身体全体の炎症を抑える働きをもっています。さらに最新の研究結果から、血糖値を下げたり、肥満抑制にも役立つことが分かってきました。

    食物繊維をしっかり摂ることは単に便秘を解消するだけではなく、全身に大きく影響する、「日本人だからこその健康キープ方法」なのです。

    まとめ

    消化吸収機能は、腸内細菌と身体との共同作業。そして、日本人が長い歴史から受け継いできた「食物繊維を分解できる」という特徴は、健康維持のためにもプラスになることが分かりました。
    便秘にとどまらず、病気リスクを回避するために有効な食物繊維。ぜひ積極的に食べるようにしてみましょう。

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