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【医師に聞く】 健康診断と予防医学 リスクを取り除き、本当の意味の健康管理を


自身の健康をチェックする重要なタイミング、健康診断。
特に会社員にとっては、年に1回の健康診断しか自分の体内を判断する機会はありません。そこで今回の記事では、その健康診断が本当に健康管理の役に立つのか、そして「予防医学」とのかかわりはあるのかについて、医師に詳しく聞いてみました。

健康診断はリスクファクターを知る機会

「健康診断になんて、意味がない」という方もいますが、健康診断ではリスクファクターを見ることができます。

リスクファクターとは、「ある特定の疾病に寄与する危険な要素」のことです。

たとえば脳梗塞のリスクファクターに、高血圧があります。

「高血圧の人が必ず脳梗塞になる」訳ではありませんが、「高血圧のある人と高血圧のない人とで比べると、高血圧の人の方が○○倍、脳梗塞にある確率が高いですよ」という、病気にかかりやすくなる要因を教えてくれる、といえば分かりやすいでしょうか。

問診票も大切な判断材料

健康診断では事前に問診表を記入すると思いますが、あのチェック項目からも、タバコを吸うか、体重が多いか…などが生活習慣病のリスクファクターとして捉えられ、予防の手がかりとして使われます。

また年齢や「食べるのが早い方か」などの質問からは、健康に大きな影響を及ぼす咀嚼力を推測することもできるため、問診票もバカにできません。

リスクファクターを事前に知り、できるだけ減らすことも、大事な予防医学。

統計学的に見ても、毎日20本のタバコを吸う人と、一切吸わない人でのガン罹患リスクには、何倍もの開きがあります。

これまでの医療の現場から集めた膨大なデータから、ある要因と病気の発症率との関連性を見つけ出し、事前にその危険要因を取り除くことは、病気予防にとても役立つのです。

LDLコレステロール値が高くても、動脈硬化になるとは限らない

ただし、数値結果と病気発症は、100%結びつくわけではありません。

たとえばLDLコレステロールは「悪玉コレステロール」とも呼ばれ、診断結果を気にする人も多いですが、近年では、動脈硬化を進めるのは単なる「LDLコレステロール」ではなく、「酸化したLDLコレステロール」であることが分かってきています。

酸化とは、体内の活性酸素によって、LDLコレステロールがサビついてしまった状態です。サビたLDLコレステロールが血管の壁からはがれなくなってしまい、それが血管を詰まらせる原因となっているのです。

つまり、LDLコレステロールの数値が高くても、サビつきがなければ動脈硬化のリスクは低いままである、ということです。だから、気にすべきはLDLコレステロールの数値ではなく、活性酸素の状態なのです。

活性酸素の状態は、健康診断では分からない

活性酸素の状態は、血液検査で分かります。しかし健康診断では活性酸素は調べられません。

これにはいくつかの理由がありますが、まずはコストの負担が大きくなることが一番でしょう。また、採血後すぐに検体を調べなくてはなりませんが、一斉に大量の検査を行うには、まだ環境が整っていません。

そして、LDLコレステロールの数値が高い=すぐに病気にかかるといい切れないのと同様に、活性酸素の量が多い=病気とも、いい切れません。

病気は複合的な要因で発症します。活性酸素の量が多くても、それが「どのリスクファクターと結びつくか」をすぐに診断することは、今は不可能です。

二重の予防が病気を防ぐ

だからこそ、

・健康診断で自分のリスクファクターを把握し
・活性酸素を減らしてその要素に結びつかないようにする

という、二重の予防法がベストなのです。

生活習慣病は、ウイルスに感染するのとは違い、毎日の積み重ねの行動が原因となっています。

喫煙習慣や睡眠不足、また栄養バランスの乱れなどが続くと、体重増加といったリスクファクターが増えるのと同時に、活性酸素も増えていきます。その結果、ふたつの要素が結びついて、大きな病気へ発展してしまうのです。

そう考えると、今の日本で問題になっている3大疾病…ガン、心疾患、脳血管疾患は全て活性酸素が原因として関係しているといわれており、活性酸素を減らす努力をすることは、病気を予防する上で、定期的に健康診断を受けるのと同じくらい重要です。

LDLコレステロールの数値や血圧・血糖値が高くても、すぐに死に至る病気にかかる訳ではありませんが、早め早めにコントロールすることが、未来の病気を予防するといえるでしょう。

健康診断も変化・進化していく

健康診断の数値結果がかんばしくなかったときに行われる再検査の精度は、どんどん上がっています。しかし、完全に病気を発見できるわけではありません。

たとえば、少し前まで頻繁に行われていた検査に、腫瘍マーカーがあります。

腫瘍マーカーの数値によってガンの早期発見ができるということで、一時期とても流行りました。しかし偽陰性・偽陽性といって、腫瘍マーカーの数値が低いのに実はガンだったり、逆にガンではないのに数値が高く、意味のない再検査を繰り返す人が増えたりと、その信ぴょう性に疑いが出てきたのです。

また、腫瘍マーカーが高くなって見つかるガンはかなり進行していることも多く、検査には多額の費用がかかる割に、発見されたガンで命が救われる確率が低く、コストパフォーマンスが悪いことから、今は一般検診から外されています。

不安というストレスが、一番の病気の元

ときに、検診で異常を指摘され、やたらと神経質になっている人がいますが、「自分が病気かも知れない」というネガティブな思い込みや不安は、見えないストレスとなって体内に蓄積します。

ストレスは活性酸素を増やす原因にもなりますから、実際の病気を引き起こす要素を、自分で増やしてしまうという本末転倒な結果も招きます。

「病は気から」というのは、本当です。
せっかく受けた健康診断を、マイナスの要素にすることなく、予防に役立てましょう。

そして、診断結果に不安要素があるならば、一人で抱え込んだり、ネットの情報に頼らず、専門医にきちんと診察をしてもらうことをおすすめします。

健康診断もどんどん変化・進化していきますし、その結果だけでは正しい診断はできません。あくまで、自分のリスクファクターを知り、生活習慣改善など、自分でできる範囲の対策に役立てるつもりで賢く利用しましょう。

まとめ

面倒な健康診断ですが、せっかく受けたのですから、数値結果に一喜一憂しないこと、そして検査を複合的に受け、日常生活の中で活性酸素を増やさないようにすることが大切です。
人間、長く生きればそれだけ、病気の因子をためる機会が増えるのは当たり前。自分の体内の状態を正しく把握し、長く健康でいられるようにしたいですね。

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