基礎知識

【医師に聞く】 ガンの早期発見、どうしたらいい? 医師に聞いた部位別検査の重要性

医師と看護師

日本人の2人に1人が罹患するというガン。
しかし、医療の進歩によって、その生存率は著しく高くなっています。
ガンを「死の病」にしないためには、早期発見が必要です。
そこで今回は、ガンの早期発見について、医師に詳しく聞いてみました。

ガンは遺伝ではなく環境要因

人体にガン細胞はできるのは、人間の身体の仕組みです。
ガンの存在は古代エジプトから知られており、人類にとって「死」をもたらす恐ろしい病気として、人類とともに存在してきました。

現代では検査の精度が上がり、早期発見できるようにはなりましたが、生活習慣の変化やストレスなど、現代的な要因は増えています。
つまり古代よりガンになりやすい身体になっているのです。

ガンという病気は、少し前までは遺伝の異常が原因で起こる病気だといわれていました。

確かに、ガンには遺伝子の異常が関係しているのは間違いありません。遺伝子に何らかの障害が生まれ、それが修復できなくなり、細胞のエラーがどんどん増殖していくのです。

遺伝子の異常から始まってガン細胞が生まれ、大きな塊としてのガンになるまで、いくつかの段階を経てガンが成長していくプロセスを「多段階発ガン」といいます。

この「多段階発ガン」には、さまざまな環境要因が影響しているということが分かってきています。

遺伝子は、何もキッカケのないところで突然エラーを起こしません。遺伝子がエラーを起こすには体内の環境要因が大きく関係しており、さらに大きな塊としてのガンにまで成長するかどうかにも、私たちの体の中の環境が関わっていることも、分かってきました。

現代の生活は、体内環境を悪化させている

ガンを発現させる環境要因は、30〜40年前あたりからとても増えています。

まず大きな要因として、食品添加物・化学物質・環境汚染物質など、人工的な汚染物質の存在があげられます。
人間の生きる環境自体の汚染が進み、重金属なども人体に蓄積しやすくなり、昔はなかったこれらの物質が、どんどん体内に入ってきているのです。

本来人間の身体には、不要な物質が入ってくると自然に解毒(デトックス)する仕組みがありますが、排出が間に合わずに身体に溜まってしまうと、身体機能の歯車がうまく回らなくなります。

そのような物質が身体に蓄積され、目詰まりが起こると、身体の自己治癒力が低下します。
その結果、体内に活性酸素が増え、細胞をサビさせてしまうのです。

自然治癒力で「治る」はずのガン

本来、ガン細胞は、小さいうちに体内で処理されるもの。

普通の健康な人でも、私たちの体には毎日3000個から6000個のガン細胞ができているといわれていますが、私たちの体の「自己治癒力」が正しく働いている間は、これらのガン細胞を退治することができています。

しかし、この「自己治癒力」の歯車が目詰まりを起こしたり、活性酸素の作用でサビてくると、ガン細胞を退治できなくなります。そして、1個のガン細胞がどんどんと成長し、塊としてのガンができてくるのです。

このように、私たちの体の「環境要因」が乱れてくると、遺伝子のエラーを起こしやすくなるだけではなく、できたガン細胞を体内で処理できず、塊としてのガンに発展しやすくなるのです。

ガンは腫瘍マーカーでは見つからない

ガンに罹患する人が増えているかわりに、ガンを見つけ、治療する技術はどんどん進歩しています。
しかし、本当に早期発見をしたいなら、浅く広い検査では意味がありません。

少し前まで、腫瘍マーカーでのガン検査が流行しましたが、今では医師の間でも「意味がない」とされています。

その理由は、結果に確実性がなさすぎるから。
腫瘍マーカーの数値が低く安心していたのに、そのうちに血便が出て、検査をしたら末期の大腸ガンだった…というケースも実際に起こっているのです。

腫瘍マーカーで早く見つかって、手術も成功して、めでたしめでたしというケースの方が稀なのです。
まず、ガンを本当に発見しようと思うなら、浅く広い検査ではなく、部位別に検査をする必要があることを知ってください。

ガンは部位別で見つける

カルテを記入する医師

部位別の検査とは、胃ガンは胃カメラ、大腸ガンは大腸カメラで、ひとつひとつ確認をしていくということです。

たとえば胃ガンが不治の病ではなくなったのは、胃カメラの進歩によって早期発見ができるようになったから。
もちろん進行した胃ガンは助かりにくくなりますが、ステージが上がる前に検診を受ける機会が増えたことで、死亡率が下がっているガンの代表格といえるでしょう。

最近では、経鼻内視鏡を鼻からスーッと入れるだけで、苦痛が少なく検査をすることができるようにもなっており、検査のクオリティが急激に上がっています。

菌とガンの原因が結びついた珍しい例、ピロリ菌

また、胃ガンの原因としてピロリ菌が知られるようになりました。
本当に胃ガンを防ぎたければ、健康診断以外にピロリ菌検査を受け、菌がいたら除菌をします。
菌がいないのに、胃ガンになる人は少ないことが分かっているからです。

発ガンに特定の菌が関係していると分かっているのは、今は胃ガンくらいでしょう。

もちろん、浸潤性が高く広がりやすいスキルス胃ガンにはピロリ菌は関係ありませんから100%とはいえませんが、胃カメラ&ピロリ菌除去で、胃ガンを防げる確率は大幅にアップします。

このように、部位別にていねいに見ていくことで、早期発見できる確率はグッと上がるのです。

レントゲンやCTスキャンでも分からないガン

健康診断の一般検診では、肺ガンの発見のために胸部X線検査を受けると思いますが、あの検査も完ぺきではありません。肺ガンを本気で早期発見しようと思ったら、CTスキャンを撮らないと意味はないからです。

しかし、そのCTスキャンですら癌の種類によっては完璧ではありません。

たとえば「最も発見しにくい」とされるすい臓ガン。
すい臓ガンは、1センチ以下で発見できないと手術をしても治らないといわれています。
すい臓は「後腹膜」と呼ばれる背骨側に貼り付いており、浸潤性が高く広がりやすい特徴を持つからです。そのため1cm以下の膵臓ガンを見つけることは、非常に困難なのです。

別のガンと比べると、たとえば大腸ガンの場合は大腸という区切られた壁の中にできるため、周囲にはある程度の脂肪組織もあり、まわりの組織に広がるのを防いでくれます。そのため進行した大腸ガンでも、根治的な手術で長生きができるようになってきています。

しかし、すい臓ガンはおなかの中に直接できるガン。
周囲の組織に拡がりやすく、手術によって完全に取り切ることはとても難しいのです。

高解像度のCTスキャンでもなかなか見つからない1cm以下のすい臓ガンを見つけるには、腹部エコーが一番有効ですが、いくらエコーを撮っても診断する医師の技術や知識がないと、見逃されてしまうこともあるでしょう。

浅く広い検査では、見つからないケースが多いのが頷けますね。

ガンの早期発見は、複合的に

ガンを早期発見するには、部位別に、その特徴に合わせて検査をすることが大切、ということをご理解いただけましたでしょうか。

最近は抗ガン剤も進歩し、延命もかなりできるようになっています。
その医療技術の進歩スピードはめざましく、昔のように「切るか、死ぬか」という二択ではなくなってきました。

しかし冒頭で述べた通り、現代生活はガンのリスクとなる要因が増えていて、「ガンに罹患する人数」自体が増えています。

ガンの不安があるのなら、検査を部位別にしっかりと受けること。
健康診断や腫瘍マーカーのざっくりした数値結果を、鵜呑みにしないことが大切です。

そして、ガンにかかりにくい身体をつくるという部分に関しては、予防医学の領域です。

どうしたって体内に蓄積してしまう化学的物質や環境汚染物質を、なるべく自力で排出し、体内環境を整えることにも目を向けましょう。
ガンになりにくい身体の土台をつくっておくことは、現代社会で健康を維持するためにも、非常に重要といえるからです。

まとめ

体内環境を整え、ガンになりにくい身体をつくる。そしてガンの検査は、浅く広くではなく、部位別に丁寧に行う。この2点を守るだけで、ガンが手遅れで発見されるリスクは避けられます。ガンと人類の戦いはまだまだ続きそうですが、今を生きるためにも、自分でできる予防はしておきたいですね。

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