基礎知識

【医師に聞く】自然界の毒、人工の毒。 知らぬ間に蓄積する重金属と、バイオロジカル検査

歩く影

現代人の生活は、人工的・化学的な物質に囲まれています。それに多少の危機感を覚えていても、今の私たちが便利さを捨てることは、不可能でしょう。

しかし私たちの身体に、環境汚染物質や身体に悪影響を及ぼす物質が、じわじわと溜まっていっていることは事実。

そこで今回は、体内に蓄積される不要な物質とどう付き合っていくか、またどうやって自分の状態を調べることができるかを、バイオロジカル検査の専門医師に聞いてみました。

人工的な汚染物質が増えている

私たちは、生きているだけでさまざまな汚染物質を体内に取り込んでいます。
最近ではPM2.5という粒径2.5μm(2.5mmの千分の1)以下の粒子状物質が、体調不良を引き起こしたニュースなども取り沙汰されていますね。

PM 2.5などの粒子状物質の発生源はいろいろです。
ばい煙を発生させる工場や、自動車、船舶などの排気ガスなど、人間がつくった機械や施設から出るものが大半で、ゼロにすることは難しいでしょう。

また海洋プラスチックの問題も無視できなくなってきました。
人間の捨てたプラスチックが海に捨てられ、紫外線や波にさらされて劣化して微粒子になり、それが海底に大量に沈殿しているというニュースです。

それらのマイクロプラスチックを食べた魚を私たちが食べることで、目に見えない形で循環しているのです。

しかし、そのような近代で流通し始めた物質が体内に溜まることで、数十年後にどのような影響があるかは、まだ分かっていません。

毒素は自然界にもある

とはいえ、人体に悪影響を及ぼす毒性の高い物質は、自然界にもたくさん存在します。
たとえばカビ。
カビ毒にはアフラトキシン、オクラトキシンなどさまざまなものがありますが、この「トキシン」とは毒素を指しています。

また自然界には、トリカブトのような植物由来の毒や、ボツリヌストキシンのような致死性の高い毒もたくさん存在します。

人間の身体には、これらの毒素が入ってきたときに、自力で排出する「解毒機能」があります。
もちろん大量の毒が入ってきたら死に至りますが、多少なら毒素を体外に出すことで対処が可能なのです。

しかし、自然界の毒に加え、人工的な毒素が日常的に体内に入ってくるとどうなるでしょうか。
本来の解毒機能では間に合わなくなり、病気を引き起こすキッカケを増やしてしまうのです。

現代病の裏にある「重金属」

現代病、また原因不明の病気の原因には、重金属が関係する可能性があることが分かってきました。

体内に重金属が蓄積すると、さまざまな症状が起こります。
しかし通常の病院では重金属の検査ができないため、重金属が原因とハッキリ見つかられないことがほとんどです。

その結果、「気のせい」で片付けられたり、自律神経失調症、うつ病や仮面うつ病など心の病気とされてしまうケースも少なくありません。

しかし、長期のうつ病や重度のアトピー性皮膚炎など、慢性的で治る見込みがないとされてきた症状も、重金属を体外に排出する治療…つまりキレーション治療を行うことで、劇的に改善する場合があるのも事実です。

バイオロジカル検査

木漏れ日と親子

現時点で、私たちの身体にどれほどの重金属が蓄積しているのかを正確に判断する方法はありません。
それは、蓄積した重金属は血液中には存在せず、脂肪組織や肝臓や脊髄脳などの臓器中に蓄積するからです。

しかし重金属が何らかのかたちで身体に影響していることを、検査で見つけ出すことは可能です。
それらはバイオロジカル検査と呼ばれるもので、いくつかの方法があり、それぞれに特徴があります。

  • 毛髪中重金属検査
    体内から重金属を排出するための臓器として肝臓や腎臓がありますが、割合は少ないものの、重金属の一部は汗や髪の毛、爪にも排泄されます。毛髪を調べることで、実際にどのくらいの重金属が排泄できているのか確かめる検査です。
  • オリゴスキャン検査
    手の平に吸光光度計という特殊な機械を当ててスキャンすることで、末梢組織に溜まっている重金属を調べる検査です。末梢組織に重金属が溜まっていれば、細胞の状態が悪くなっていると考えられるため、その状態を改善する治療法を考えなくてはなりません。
  • 尿中重金属排泄検査
    重金属蓄積の治療薬として用いられるキレート剤を内服後、尿の中にどれぐらいの重金属が排泄されているのかを調べる検査です。治療に対しての反応性を確認でき、治療を始める前に全身にどのくらい重金属が溜まっていたかを知る目安にもなります。

一般の病院で行われる検査が、「病気になった後の状態」を探すのに対し、バイオロジカル検査は自身の体内環境を把握するためにとても役立つのです。

身体の中を把握し、キレイに保つことの重要性

今回は重金属を例としてあげましたが、バイオロジカル検査には他にも多くの種類があります。
たとえば尿中トキシン検査では、尿中の環境汚染物質の代謝産物を測定することで、体内にどれくらい環境汚染物質が溜まっているのかを調べることも可能です。

しかし今現在ではバイオロジカル検査は保険が効かず、自費診療になります。
また日本国内では受けることができないため、検体をアメリカに送り結果を取り寄せる必要があります。

そのため残念ながら、バイオロジカル検査は現状では気軽に受けられるとは言い難いでしょう。
しかし、放っておくと体内にどんどん溜まる重金属や環境汚染物質をまずは把握し、身体の中のクリアな状態にしなくては健康は守られません。

同じ環境に住み、同じ量の排気ガスを吸っていても人の解毒力はそれぞれ。
今は大きな病気が発覚していなくても、「予防医学」という観点からも、元気なうちから体内のクリーンナップに意識を向けて欲しいのです。

残念ながら、この考え方はまだ日本には根付いていません。
どうしても「重病になったら病院へ行こう」と考える人がいまだに多いからです。

しかし、ここ最近で「予防歯科」という概念が根付き、虫歯になる前に歯科でメンテナンスをする人が増えたように、「自分の身体のどこに目詰まりがあるかを先に知り、病気を防ぐアクションを取る」という予防医学の考え方も、近い将来には一般的になっていくでしょう。

まとめ

後手後手の治療とは違う、バイオロジカル検査。
自分の身体の状態を客観視し、病気になる前に手を打つためのデータとして活用しましょう。
病気は正しい知識と正確な検査で、ある程度の予防が可能です。
現代の便利さを享受するからこそ、予防医学を心がけ、体内から不要物質をデトックスできるようになりたいですね。

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